明け方、すごく冷えますね。少しずつ「師走」が近づいている気配がします。10月以降、裁判所へ行くことも少しずつ増えてきました(身分証は申請中、弁護士バッジは天津にあるため、一般入り口で手荷物検査を受けるのですが、先日は盛大にアラームが鳴り、かなり入念にボディチェックを受けました…)。
さて、これから年末にかけて、増えるもの/ことは何かご存知ですか?
それは…‥‥ 「和解」です!!(統計を見たわけではなく、弁護士の肌感覚です)
気持ちよく年越ししたい!今年度のもめごとは今年度で区切りをつけたい!…なんとなく理解できますよね。
もともと和解には「機運」があります。来月まとまりそうだなとか、次々回かなとか、裁判官と弁護士の間で雰囲気がだんだんと醸成されていくものなのですが、毎年11月後半から12月は急に話が上手くまとまるケースがあります。
会社の方も個人の方も、弁護士に任せきりにせず、要所を弁護士に確認し、裁判に同行してみてください(和解の話が出ている案件)。無理に和解する必要は全くありませんが、師走の雰囲気と裁判官との会話で、フッと「もう終わろう」と思えることがあるようです。だいぶこだわり&お怒りの大きかった社長に「いい正月を迎えられた!」などとお知らせいただくと、白黒つけることだけが幸せではないという当たり前のことを思います。
前置きが長くなりましたが、今日は中国の民法典(来年施行)&司法解釈を読んでいて日本と違うなと思ったことを書いてみたいと思います。
① 法律が改正されても、他の関連する法律(司法解釈)は一緒に改正されない。
法改正がある度に、法務省のHPで関連の法改正を把握し、新旧対照表を見るという人は弁護士以外あまりいないと思うのですが、日本の法律改正は本当にきめ細やかです。法律が改正されるときは、関連する法律が全部洗い出され、整備され、削除されたら条文番号も改められ…『新旧対照表』も当然のように公開されます。
中国初民法典の中身を知りたいと初めに思った時、私が最も入手したかったのは『新旧対照表』でした。実際、百度を何度も検索しました。が、結局…公式な『新旧対照表』なるものはありませんでした。驚きました…。日本で「当然」だと長年思い、そうでなければ「困る」と思っておりましたが、これは日本式だったのか!!(中国以外の国はどうなんでしょう‥)。
② 日本で明文化されていない概念や判例上認められている解釈が、普通に条文として存在している。
これは、合同法の時代からそうですが、日本で明文化されてこなかった概念や判例上認められている解釈が、さらっと出てきます。例えば、契約締結上の過失や不可抗力、不安の抗弁、事情変更など…。日本の民法改正で明文化するか否かが喧々諤々議論されたかと思いますが、当然のように規定があります。
③ 基準が数値化されている
判例を調べてもはっきりせず、お客様に質問されて曖昧な回答になり申し訳ないと思うことがよくあるのですが、中国では司法解釈でOKな基準、ダメな基準がかなり数値化されて示されています。例えば、違約金の規定がある場合、裁判所や仲裁機関に違約金の増減を請求することができ、約定された違約金が実際の損害より「過分に」高い場合は減額が認められるとされているのですが、過分かどうかについては「約定された違約金が実際の損害より30%以上高い場合には…」との基準値が規定されています(個別の事案の事情を考慮して判断されるという留保はあり)。
「走りながら考える」「とりあえずやってみる」「壊れたらそこで修理する」という中国人の思考(個人差はもちろんあります)を中国生活の細々したところで体感したので、①や②などは特に中国っぽいなと思います。ここは日本人の発想とだいぶ違うので(日本企業や日本人は動く前にとことん検討する。検討が終わるまで動かない)、中国の方や企業との契約締結時は十分注意しておかなければならないことだと思っています。だいぶ温度差があるかもしれません。
もう少し書きたいですか、夜がふけました…。みなさん、また来週!
これからどんどん忙しい雰囲気になると思いますが、クリスマスツリーなど眺めながらゆったりするなど(久しぶりに名古屋駅付近に行き、クリスマスモードのお店を見て季節の移り変わりを感じました…)、余裕を持って過ごしていきたいですね。
く