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口下手弁護士が生き残れるのは… ~日本と中国の民事訴訟の違い~

皆さんこんにちは。今週も『中国法務の扉』へのご訪問、ありがとうございます。

もう梅雨が本格的になってしまいましたね…と書いた次の日から晴れ続け、今週は過ごしやすい日々が多かったです。

*さっき虹色の雲、彩雲を見ました。

ラッキーをおすそ分けするため、写真を入れ替えました。

 

先週のコラムは<謝罪>とごめんねパンダのイラストで失礼いたしました。

しかし皆様、わたくし…やりました!めでたく、めでたく有言実行致しました!!

 

…ということで、6月1日火曜日に記念すべきメルマガ『法Cafe』第1号を配信したことをご報告させて頂きます。事前にご登録いただいた皆様、本当にありがとうございます。

その後登録していただいた皆様もありがとうございます。

 

私がメルマガを始めようと考えた理由、想いについてはメルマガ第1号に書かせて頂きました。過去記事も読めるように設定したつもりですので、来週以降の配信から是非ご確認ください。

 

1年前には1ミリもメルマガを始めるとは思っていませんでした。タイミングとか誰かの言葉とか、本当に不思議な縁を感じます。いろんな偶然を大切に、変化する自分を楽しんでいきたいと思います(時々疲れていますが‥)。

 

さて今日は、中国と日本の民事裁判制度の違いの一つをご紹介します。

皆さんは裁判を傍聴されたことはありますか?刑事裁判はまだ話がわかりやすいと思いますが、民事裁判は<謎な儀式>に見えた方も多いのではないかと思います。証人尋問など少しは盛り上がる?場面がありますが、基本的には淡々と書面が交わされ、弁護士が大声で叫んだり、机をバンバン叩きながら裁判官を説得したりすることはありません(『リーガルハイ』はおとぎ話です)。裁判官から質問を受ける場合でも、その場で弁護士がベラベラ語り、それが記録として残るということは限定的で、その場で説明したとしても通常持ち帰ってその内容を書面で提出します。脱書面主義は長らく議論されていますが、それでも基本的には<書面主義>です。

 

私は中国の裁判を傍聴したことがないのですが、日本とは違い〈口頭主義〉といわれています。その場で直ちに反論する必要があり、日本のように「後で書面にして提出します」というのは許さないとのことです。中国人律師の友人に中国の裁判事情について教えてもらったことがあるのですが、その際も「裁判はその場ですぐに説得力のある反論をしなければならず、裁判官も必ずしも真面目に耳を傾けてくれるわけではないので若手弁護士にはとにかくつらい。性格もあるけど…」と言っていました。日本では口下手弁護士でも、声の小さい弁護士でも、裁判自体で困ることはまずないですが(耳を澄まさないと聞こえないくらい小声の先生もいらっしゃいます)、中国の裁判で弁護士を選ぶときは、訴訟に強い先生かどうかが大切になると思います。

 

そして訴訟で弁護士に力を発揮してもらうためには、その弁護士が本当に必要な情報をしっかり伝えておく必要があります。どんな情報や証拠を弁護士が求めているかを理解するのは日本の訴訟でも難しいと思います。その情報や証拠を弁護士が必要とする目的、狙いを意識して聞き取らなければなりません。そういう意識をもって、弁護士(中国はもちろん、日本でも)の話を聞くと、コミュニケーションのミスや徒労が減ると思いますので、是非やってみて下さい。

 

私は日本でクライアントに説明する時は、できるだけ私が何を立証したいのか明確に伝えるように努力しています。また、中国の律師と共同して事件処理する時は、中国律師からの聞き取り役&日本側での指示出し役だと思って、関わっております。

 

 

今日も長くなってしまいました^_^。それでは皆様、また来週元気にお会いしましょう。