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ぼやぼやしていると「えらいこっちゃ」になる中国の労働契約

『中国法務の扉』へのご訪問ありがとうございます。名古屋の弁護士岡部真記です。名古屋は年が明けてから寒い日が続いています。皆さんの地域はどうですか?

 

この寒さで(?)私、寒冷アレルギーになってしまったようです(自己診断)。マイナス10度を超える天津では何ともなかったのに、寒暖差の激しいところに行くとくしゃみと鼻水が止まりません…。そして、冷たい風が手に当たると手が赤く腫れて痺れます。最近はZoomの会議がほとんどなので、音を消し、かつ一時画面をオフにしてコソコソと《くしゃみ対応》しているのですが、今日はくしゃみ後に「ああ‥、ハナ…めっちゃ出るわ‥もう」とつぶやいてしまった瞬間にマイクがオンになっていることに気が付き、にやにや笑うしかありませんでした(人はどうしようもない時、にやけてしまうもんですね)。

 

さて、落ち着かないどころか、激しさを増しているコロナ…。変異種の確認後日本の水際措置が超厳格化されるようでしたが、再度の緊急事態宣言の一方でビジネス関係者の入国は継続する方針のようだと報道されるなど、はっきりしません。他方、中国では、相変わらず大量PCRが実施されているようです(友人知人が、何度もPCR検査を受けているという話を聞いていると、日本で同じことができない理由は何だろうかと素朴に疑問です…。ちなみに中国の一斉検査は、ロットで検査して陽性が混じっている場合にそのロットに含まれていた人のみを再検査する方法で実施しているとのこと。素人目には合理的に思えます。)。また、北京の健康管理は、さらに高度になったようです(在中華人民共和国日本大使館から今週火曜日、北京市政府の発表内容についてメールがありました)。物心ついたときから「世界は一つ」、「これからはグローバル人材!」という教えを刷り込まれてきた私としては、これほどまで世界は分かれていたのか…と呆然としております。

 

そんな中、中国との人材交流も難しくなっておりますが、今日は中国の労働契約について少しご案内したいと思います。日本でも、労働条件を書面化することは義務化されていますが、中国では労働契約を書面化することには日本以上の意味があります。

まず、中国企業が従業員を直接雇用する場合、雇用開始日から1か月以内に必ず書面で労働契約を締結しなければならなりません(労働契約法101項・例外として非全日制雇用がありますが、それはおいておきます)。驚くのは締結されなかった場合の効果です。雇用開始から1か月以上1年未満の間に書面による労働契約が締結されない場合、2か月目から毎月2倍の賃金を支払わなければならないと定められています(労働契約法82条・労働契約法実施条例6条)。これは、雇用主としては「えらいこっちゃ!!」だと思います。さらに、雇用開始から1年を経過しても書面による労働契約が締結されない場合…雇用開始日から1年経過した日をもって期間の定めのない労働契約が締結されたものとみなされてしまいます(労働契約法143項・労働契約法実施条例7条)。

ちょっとびっくりしませんでしたか?。派遣契約なども日本とは異なる規制があったり、出向契約がなかったり(これにも驚きました)、また、コロナに対する企業の責任も日本とかなり差があったりします。

最後のコロナと人事労務については、来る1月28日に、愛知県弁護士主催のZoomセミナー『新型コロナ影響下における人事労務に関する法的問題』があります。是非ご参加ください(無料です)^ ^。何かしらの「へえ!」が見つかると思います!!

 

皆様元気にまた来週!

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『新型コロナ影響下における人事労務に関する法的問題』
1月28日開催の無料セミナーのご案内
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